不動産を売却すると、売却価格がそのまま手元に残るわけではありません。仲介手数料や税金など、いくつかの費用が差し引かれます。あらかじめ全体像を把握しておくと、資金計画を立てやすくなります。ここでは、不動産売却にかかる主な費用と税金、利用できる控除について整理します。
不動産売却で発生する主な費用
売却時には、不動産会社への報酬や手続きに関する費用が発生します。
仲介手数料
不動産会社に売却を仲介してもらった場合、成功報酬として仲介手数料がかかります。
- 売却価格が400万円超の場合:
売却価格 × 3% + 6万円 + 消費税
たとえば3,000万円で売却した場合、仲介手数料は約105万円(税込)が目安になります。
登記関連費用
住宅ローンが残っている場合は、抵当権抹消登記が必要になります。
- 登録免許税:1件あたり1,000円
- 司法書士報酬:1〜3万円程度
印紙税
売買契約書には印紙税がかかります。契約金額によって税額が異なります。
- 1,000万円超〜5,000万円以下:1万円(軽減措置適用時)
その他の費用
- 測量費用(必要な場合):数十万円
- ハウスクリーニング費用(任意):数万円〜
- 引っ越し費用
物件や状況によって不要なものもありますが、事前に確認しておくと安心です。
売却時にかかる税金の基本
不動産売却で利益が出た場合には、税金がかかる可能性があります。
譲渡所得税とは
売却によって得た利益(譲渡所得)に対して課税されます。
譲渡所得は、次の計算式で求められます。
売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)
税率の違い
- 短期譲渡所得(所有期間5年以下):約39%
- 長期譲渡所得(所有期間5年超):約20%
所有期間によって税率が大きく変わる点は、知っておきたいポイントです。
利用できる主な控除・特例
一定の条件を満たすと、税負担を軽減できる制度があります。
3,000万円特別控除
マイホームを売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円まで控除できる制度です。
- 自分が住んでいた住宅であること
- 親族への売却でないこと
- 過去に同じ特例を使っていないこと
多くの方が利用できる代表的な控除です。
所有期間10年超の軽減税率
所有期間が10年を超えるマイホームを売却した場合、長期譲渡所得の税率が一部軽減されます。
- 6,000万円以下の部分:14.21%
- 6,000万円超の部分:20.315%
損失が出た場合の特例
売却して損失が出た場合でも、一定の条件を満たすと他の所得と相殺できる制度があります。
- 住宅ローン残債がある場合
- 買い替えを伴う場合
適用条件が細かいため、事前に確認しておくことが大切です。
費用と税金を把握しておくメリット
売却後に「思ったより手元に残らなかった」と感じるケースは少なくありません。あらかじめ費用と税金を整理しておくことで、次の住まいや資金計画を立てやすくなります。
- 売却後の手取り額をイメージしやすい
- 控除や特例の使い忘れを防げる
- 売却時期の判断材料になる
まとめ
不動産売却では、仲介手数料や登記費用、税金などさまざまな費用が発生します。一方で、控除や特例を活用できる場合も多く、事前に知っておくだけで負担が大きく変わることがあります。不明点は不動産会社や税務の専門家に相談しながら進めると、安心して売却しやすくなると思います。
