住み替えや相続などで不動産を売却するとき、多くの方が「できるだけ高く売りたい」と考えると思います。価格は市場動向だけで決まるわけではなく、売却前の準備や販売の工夫によっても大きく変わります。ここでは、高値売却を狙うために意識しておきたいポイントを整理します。
売却のタイミングを見極める
売却価格は需給によって変わります。転勤や進学シーズンなどで動きが活発になる時期は、買い手が増える傾向があります。また、金利の動きや新築供給量なども影響します。
タイミングを考える時に参考になる点
- 1〜3月は転勤・進学で引っ越しが多く、購入希望者が増えやすい
- 大規模な新築マンション販売が始まる前は中古への需要が高まることもある
- 金利が低い時期は、買い手がローンを組みやすい
売り急がない状況であれば、不動産会社に相談しながら時期を検討しておくとよいと思います。
複数の会社へ査定を依頼して相場感をつかむ
価格を決めるうえで大切なのは「適正な相場」を知ることです。1社だけに依頼すると判断材料が少なくなり、相場より低い価格で売り出してしまう可能性があります。
複数査定のメリット
- 相場帯がわかるため、売り出し価格が決めやすい
- 価格の根拠を比較できる
- 担当者の対応・説明の丁寧さも見極めやすい
訪問査定は手間に感じることもありますが、売却後の金額に直結する部分なので丁寧に比較しておきたいところです。
売り出し価格は「少し余裕を持たせる」
買主からの価格交渉が入ることを前提に、売り出し価格は少し高めに設定されることが一般的です。ただし、周辺相場から大きく離れると内覧すら入らないことがあるため、バランスが大切になります。
売り出し価格の考え方
- 査定価格の上限〜10%程度を目安に設定することが多い
- 早く売りたい場合は相場に近い価格にする
- 時間に余裕がある場合は段階的な価格調整も可能
売り出し価格を相談する際は、担当者に相場や過去の成約事例を丁寧に説明してもらうと納得しやすくなります。
室内の印象を整えておくと評価が変わりやすい
内覧で受ける印象は売却に大きく影響します。リフォームをする必要はありませんが、生活感を軽くして整理整頓されているだけでも印象がよくなります。
内覧前に意識しておきたいこと
- 床やキッチンなど、目につきやすい場所を軽く掃除しておく
- 照明が暗い場合は、電球交換などで明るい印象にする
- カーテンを開けて、日当たりをアピールする
- 荷物を減らし、室内の広さが伝わるようにする
ちょっとした工夫でも見え方が変わるため、買主がイメージしやすい環境づくりを意識するとよいと思います。
建物の状態を整えると安心感につながりやすい
築年数が経っている場合でも、「住宅診断(インスペクション)」を受けて状態を明らかにしておくと、買主の不安感が薄れ、価格交渉が穏やかになることがあります。
事前に確認しておくとよい部分
- 屋根・外壁の劣化
- 水まわり設備の年数
- 給湯器やエアコンなどの寿命
- シロアリ点検の履歴
修理が必要な箇所があれば事前に把握しておくことで、引き渡し直前のトラブルも避けやすくなります。
広告の見せ方を工夫する
不動産会社によって広告の出し方や写真の品質は違います。売却を任せる際は、どのような見せ方をしてくれるか確認しておくと安心です。
広告で差が出る部分
- 写真の枚数と明るさ
- 周辺施設・生活動線などの紹介
- 物件の特徴の伝え方
写真の品質によって内覧数が変わることが多いため、担当者の説明を聞きながら工夫していくのが良いと思います。
担当者との連携が売却を左右する
担当者とのコミュニケーションは、売却の進み方に影響します。連絡の丁寧さや、売却戦略の説明が分かりやすい担当者だと安心感があります。
良い担当者の特徴の一例
- 売却プランを具体的に説明してくれる
- メリットだけでなく課題にも触れてくれる
- 問い合わせ状況や反響をこまめに共有してくれる
担当者によって結果が変わることもあるため、安心して話せる相手を選ぶことが大切だと思います。
まとめ
少しでも高く売りたいときは、売り出し価格や内覧準備といった目に見える対策だけでなく、担当者との連携や情報の整理など、全体的な準備が効果につながることが多いです。ひとつひとつのステップを丁寧に進めながら、無理のないスケジュールで進めていくのがよいと思います。
