建物の3種類の構造と各工法について

家づくりを進めるうえで事前に把握しておくことの一つが、「建物の構造と工法の違い」です。
見た目や間取りにばかり目が行きがちですが、構造や工法は家の強さ・快適さ・コストに大きく関わる重要な要素です。
この記事では、住宅で使われる主な構造(木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造)と、それぞれの代表的な工法について紹介します。

木造(もくぞう)

日本の戸建て住宅で最も多く採用されているのが木造です。木材を柱や梁に使う構造で、調湿性・加工性に優れており、比較的コストも抑えやすいのが特長です。

木造軸組工法(在来工法)

  • 日本の伝統的な工法。柱と梁で構成される枠組みに筋交い(すじかい)で補強
  • 間取りの自由度が高く、リフォームもしやすい
  • 耐震性は設計や施工の質によって差が出やすい

2×4工法(ツーバイフォー)

  • 壁・床・天井など「面」で建物を支える構造(枠組壁工法)
  • 断熱・気密性が高く、耐震性も安定している
  • 窓や間取りの自由度がやや制限される

木質パネル工法

  • 工場であらかじめ製作されたパネルを組み立てる方式
  • 工期が短く、品質のバラつきが少ない
  • リフォームや増改築はやや難しい

鉄骨造(てっこつぞう)

鉄を主要構造材として用いる構造で、木造よりも高い強度を持ち、間取りの自由度も高くなります。耐震性・耐久性に優れ、3階建て以上の住宅でもよく使われます。

軽量鉄骨軸組工法

  • 木造軸組に似た構造で、鉄骨を使用
  • 規格化されていて、品質が安定しやすい
  • 軽量鉄骨はサビに注意が必要

軽量鉄骨ユニット工法

  • 工場で箱型ユニットを作り、現地で組み合わせて建てる方法
  • 工期が短く、品質も安定
  • 間取りの変更には制限あり

重量鉄骨ラーメン工法

  • 太い鉄骨を柱・梁として使用し、接合部で一体化(ラーメン構造)
  • 大空間や大開口を取りやすく、設計の自由度が高い
  • 建築コストは高めになる傾向

鉄筋コンクリート造(RC造)

鉄筋を組んだ型枠にコンクリートを流し込んで固めた構造。圧縮に強いコンクリートと、引っ張りに強い鉄筋の両方の利点を活かしています。

鉄筋コンクリート壁式工法

  • 壁で建物を支える構造
  • 耐震・遮音・断熱性が高く、マンションなどでも多用される
  • 開口部(窓など)に制限が出ることも

鉄筋コンクリートラーメン工法

  • 柱と梁で構成される構造で、開口部を大きくとれる
  • 間取りや設計の自由度が高い
  • 躯体が重く、基礎や構造計算が重要になる

その他の工法:ユニット工法(プレハブ型)

あらかじめ工場で製作された部材(または空間ユニット)を現地で組み立てる工法です。
ハウスメーカーでよく使われており、品質・工期・コストのバランスが取りやすいのが特徴です。

  • 品質が安定しやすい(工場生産のため)
  • 天候の影響を受けにくく、工期も短縮できる
  • デザインや間取りの自由度は一定の制約がある

まとめ

構造や工法の違いは、「どんな暮らしをしたいか」「どこに建てるか」「どれだけ予算をかけられるか」などによって、最適な選択肢が変わってきます。

家づくりを始める際には、構造に応じた特徴や制約を知っておくと、建築会社との打ち合わせや設計の過程でもスムーズに意思決定ができるようになります。

気になる構造があれば、実際の施工事例を見たり、住宅会社に特徴を聞いてみるのもおすすめです。
それぞれの構造が持つ良さを理解したうえで、理想の住まいに一歩ずつ近づけていきましょう。

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