家づくりを進めるうえで事前に把握しておくことの一つが、「建物の構造と工法の違い」です。
見た目や間取りにばかり目が行きがちですが、構造や工法は家の強さ・快適さ・コストに大きく関わる重要な要素です。
この記事では、住宅で使われる主な構造(木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造)と、それぞれの代表的な工法について紹介します。
木造(もくぞう)
日本の戸建て住宅で最も多く採用されているのが木造です。木材を柱や梁に使う構造で、調湿性・加工性に優れており、比較的コストも抑えやすいのが特長です。
木造軸組工法(在来工法)
- 日本の伝統的な工法。柱と梁で構成される枠組みに筋交い(すじかい)で補強
- 間取りの自由度が高く、リフォームもしやすい
- 耐震性は設計や施工の質によって差が出やすい
2×4工法(ツーバイフォー)
- 壁・床・天井など「面」で建物を支える構造(枠組壁工法)
- 断熱・気密性が高く、耐震性も安定している
- 窓や間取りの自由度がやや制限される
木質パネル工法
- 工場であらかじめ製作されたパネルを組み立てる方式
- 工期が短く、品質のバラつきが少ない
- リフォームや増改築はやや難しい
鉄骨造(てっこつぞう)
鉄を主要構造材として用いる構造で、木造よりも高い強度を持ち、間取りの自由度も高くなります。耐震性・耐久性に優れ、3階建て以上の住宅でもよく使われます。
軽量鉄骨軸組工法
- 木造軸組に似た構造で、鉄骨を使用
- 規格化されていて、品質が安定しやすい
- 軽量鉄骨はサビに注意が必要
軽量鉄骨ユニット工法
- 工場で箱型ユニットを作り、現地で組み合わせて建てる方法
- 工期が短く、品質も安定
- 間取りの変更には制限あり
重量鉄骨ラーメン工法
- 太い鉄骨を柱・梁として使用し、接合部で一体化(ラーメン構造)
- 大空間や大開口を取りやすく、設計の自由度が高い
- 建築コストは高めになる傾向
鉄筋コンクリート造(RC造)
鉄筋を組んだ型枠にコンクリートを流し込んで固めた構造。圧縮に強いコンクリートと、引っ張りに強い鉄筋の両方の利点を活かしています。
鉄筋コンクリート壁式工法
- 壁で建物を支える構造
- 耐震・遮音・断熱性が高く、マンションなどでも多用される
- 開口部(窓など)に制限が出ることも
鉄筋コンクリートラーメン工法
- 柱と梁で構成される構造で、開口部を大きくとれる
- 間取りや設計の自由度が高い
- 躯体が重く、基礎や構造計算が重要になる
その他の工法:ユニット工法(プレハブ型)
あらかじめ工場で製作された部材(または空間ユニット)を現地で組み立てる工法です。
ハウスメーカーでよく使われており、品質・工期・コストのバランスが取りやすいのが特徴です。
- 品質が安定しやすい(工場生産のため)
- 天候の影響を受けにくく、工期も短縮できる
- デザインや間取りの自由度は一定の制約がある
まとめ
構造や工法の違いは、「どんな暮らしをしたいか」「どこに建てるか」「どれだけ予算をかけられるか」などによって、最適な選択肢が変わってきます。
家づくりを始める際には、構造に応じた特徴や制約を知っておくと、建築会社との打ち合わせや設計の過程でもスムーズに意思決定ができるようになります。
気になる構造があれば、実際の施工事例を見たり、住宅会社に特徴を聞いてみるのもおすすめです。
それぞれの構造が持つ良さを理解したうえで、理想の住まいに一歩ずつ近づけていきましょう。