家づくりにおいて「土地の強さ」や「家を支える基礎」は、目には見えにくいものですが、安心して暮らすために欠かせない非常に重要な要素です。
特に地盤の状態に応じて適切な対策を行うことは、建物の耐震性や長期的な安全性に大きく影響します。
この記事では、地盤改良の主な方法と、基礎工事の種類・施工チェックのポイントについて整理します。
地盤の強度に合わせた地盤改良と補強工事
地盤調査(スウェーデン式サウンディング試験など)で「軟弱地盤」と判断された場合、そのままでは建物を支えられないため、補強工事(地盤改良)が必要になります。
主な地盤改良工法には以下のようなものがあります。
柱状改良工法
- セメント系の固化材を土に注入し、地中に柱状の杭をつくる工法
- 建物荷重を柱状体で支えるため、支持層が比較的浅い場合に有効
- 施工性が高く、多くの住宅で採用されている
表層改良工法
- 地表から1〜2m程度までの土をセメントなどで固めて、地盤全体を強化する方法
- 軟弱層が浅い場合に適しており、比較的低コスト
- 重機が入るスペースが必要なため、敷地条件により制限あり
天然砕石工法
- セメントなどの化学固化材を使わず、砕石を地中に突き固めて支持層をつくる方法
- 自然素材で環境にやさしく、将来の土地転用にも配慮できる
- 砕石が水圧を逃し液状化に強い。固化されておらず地震の揺れにも強い。
- 振動や騒音が少ない一方、対応可能な地盤条件には限りがある
基礎工事の工法
地盤が整ったら、次は建物の「基礎」をつくる工事に進みます。
基礎は建物の荷重を地盤に伝える役割を担い、家全体の安定性に直結する非常に重要な部分です。
ベタ基礎
- 基礎の底面全体に鉄筋コンクリートを敷く構造
- 建物全体の荷重を面で支えるため、不同沈下(地盤沈下による傾き)に強い
- 湿気やシロアリ対策としても有効
- 一般的な住宅で最も多く採用されている
布基礎
- 建物の外周や間仕切り部分のみ基礎を設ける構造
- 使用するコンクリート量が少なく、施工費を抑えやすい
- 地盤が安定している場合に適しており、軽量な建物に向く
基礎工事の施工チェック
どんなに優れた構造でも、施工がしっかりしていなければ意味がありません。
基礎工事では以下の点をチェックしておくと安心です。
- 地盤調査結果がきちんと活かされているか
- 鉄筋の太さ・間隔・かぶり厚(コンクリートとの距離)が図面通りか
- アンカーボルト(柱を固定する金物)の位置・本数・固定状況
- 型枠の精度やコンクリートの打設状態(ひび割れ・ジャンカがないか)
- 施工中の写真や記録を取ってもらえるか(後々の確認や保証に役立つ)
また、基礎工事は住宅品質確保推進法により10年間の瑕疵担保証がある部分で、工事の前後で第三者機関の検査を受けることもできるので、安心のために検討してみるのもおすすめです。
まとめ
地盤改良と基礎工事は、家づくりの“土台中の土台”です。
表面からは見えない部分ですが、住宅の耐久性や安全性に最も関わる重要な工程です。
土地選びや住宅会社との打ち合わせの際には、地盤の調査方法、改良の必要性、採用する基礎の種類についても具体的に質問しておくと、より安心して家づくりを進めることができます。
見えない部分にしっかり目を向けて、長く安心して住める住まいを実現していきましょう。